カガミからの手紙2

【件名】無題
【差出人】――(かすれた名前は読めずに)

 (数行の空白)

 元・<迷い子>であるお前は自分を捉えていた鎖から解き放たれた。
 ゆえに『案内人』との関係は絶たれ、全てはゼロの境界へと戻った。
 別れを始まりへと繋げるのであれば『目的に至る道』を探せ。
 ただしお前が現実を忘れる事を俺は望まない。

 時を刻むからくり。
 鎖を片手に絡めながら俺は自らの意思で動けぬこの場所でお前を見ている。

 俺は今、多くを話せず、感情も露呈出来ない。
 塗り替えられたルールにより俺は物を語る口を封じられているからだ。
 ただ願う事は同じ。
 思う気持ちは同じ。

 しかし、お前が苦しむのならばどうか忘却を。
 『彼ら』はその為の助けをしてくれるだろう。

 この場所は暗くて寒い。
 別れが再会に繋がるのであれば、お前の温かさも絶対に取り戻せる。

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