鬼鮫さんアラカルト

勇太12歳編、ラストのアフターストーリー、
  ■ “鬼鮫の苦悩” ■

 
 壮絶な虚無の境界との戦いは、一人の少年の手によって終止符を打たれ
た。IO2最強のエージェント、“ディテクター・草間 武彦”。そして、その
監視下にいた“元・危険人物 工藤 勇太”。IO2本部はその功績を労い、
工藤 勇太には引き続きの監視と解放を。そして、最強のエージェント、
草間 武彦にはIO2を離れる許可を与えた。かくいう鬼鮫は、相変わらずの
任務の続く日々。何も不満はない。強いヤツと戦える事。それだけが彼に
とっての存在意義を満たす理由と成り得たのだから。
「ほらよ、見舞いだ」
「あ、鬼鮫さん! 自分なんかに…!」
 IO2の任務の中で、鬼鮫は自分の無茶に迷惑をかけた部下の見舞いは欠か
さない。それが、自分勝手にやりながらも部下から慕われる所以だ。
「…なぁ、メロン好きか?」
「へ…? えぇ、好きですよ~。高価ですし、いつも鬼鮫さんがくれる桐箱
のメロンは、俺らみたいな一般エージェントじゃ買えないですし」エージェ
ントがにっこりと笑いながら答えた。
「…そうか…」
「どうしたんです?」
「…その…あれだ…。痒くなったりしないか?」
「…はい?」
「その…果汁で…?」
「…ぶっ!」
「おい、笑ったな?」鞘から剣を抜く。
「こら! またアンタなの!?」バインダーで殴りかかる看護婦。勇太の時と
同じ看護婦だ。「ジーンキャリアってのは頭も獣になっちまうのかい?」
「…貴様、俺を侮辱しているのか?」鬼鮫が立ち上がる。見舞いに来られた部
下の血の気が引き、真っ青な顔になっていく。
「侮辱されるのが嫌なら、守り事ぐらいしっかり守る事だね!」
「…チッ…」鬼鮫が部屋を後にする。「おい」
「はい!?」エージェントが強張る。
「…ちゃんと口の周りは洗え」
「…はい…」

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『まるで夫婦? エストVs鬼鮫』

 ―勇太と凛が楓と話し込む間、エストと鬼鮫は廊下で少し立ち止まる。
お互いに勇太(凛)が気がかりな様だ。
「…今日の話では、あのガキのクローンの話しが出る…」
「クローン…?」
「遺伝子を使った分身みたいなモンだ。虚無の境界がそれをやろうとしてるらしい」
「…?」
 エスト、年齢○○○歳。携帯電話が最も最近覚えた現代語。
「…要するに、子供みてぇなモンだ。勇太が親で、その長所をそのまま受け継ぐ偽者の生命だ」
 

 鬼鮫がエストに解り易く説明した。
 ―…つもりだった。

「成る程…」エストが暫く俯く。「つまり、この後凛と共に交わる、と?」
「…は?」
「全く、いつまで経ってもそれがないので心配してましたが、虚無の境界もなかなか解ってますね。
勇太さんは十七歳。既に元服を迎えています。一人の男性ですわ」
「…バ…ッ」

鬼鮫説明→エスト暴走→鬼鮫整理中→理解←今ココ

「バカ言ってんじゃねぇ! 時代が違う! アイツはまだまだそんな歳じゃねぇ!」
「フフフ、見た目に寄らず真面目な方ですね」
「そ、そうじゃねぇが…! あ、アイツはまだまだガキだ! そんな事…」
「あーら? 何故貴方がそんな事を許さないと? 保護者は別の方でしょう?」
「と、とにかく、ダメなモンはダメだ!」鬼鮫が歩き出す。
「―で・す・が、二人は既に一つ屋根の下(し・た)…」
 

 鬼鮫の足が止まる。

「一夜の過ちなど、取るに足らない事…。ましてや、夫婦となるのであれば…――」
「――俺だ! 至急、工藤 勇太の部屋を別にしろ!」
 こんなやり取りが、勇太が暴走してる間も続いた事は誰も知らない。

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R18?

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「ぐっ…あ…あぁぁ…っ」
 勇太の受けた傷口から毒が身体に回っていく。
「…チッ、バスターズは未だか…!」鬼鮫の焦りが色濃くなる。
「うっ…うああぁぁ…あ…ぁ…」瞳孔が開く勇太の声が漏れる。
「チッ…」鬼鮫が勇太の服を破る。腹部に刺さった毒針を引き抜き、
鬼鮫が口をつけ、毒を吸い出す。
「うっ…あぁっ…」痛みと共に勇太の手が鬼鮫の肩へ食い込む。
「…ッ!!」痛みに堪えながら鬼鮫が毒を吸っては吐いていく。
「…はぁ…はぁ…」瞳孔が次第に閉じ、勇太が鬼鮫を見る。「あ…、
ありがと…」
「…フン、気にするな」鬼鮫が口を拭い、ライターでナイフを炙る。
「…はぁ…はぁ…ぐっ…!」
「傷口を焼く。気を失うかもしれないが、耐えろ…」
 鬼鮫の言葉に勇太が力なく頷く。熱を宿したナイフを見つめた後、
鬼鮫が勇太に目を覆う様に抑える。
「いくぞ…」
「……~~っ!! う…! あっ…、あつ…っ!」
「力を抜け」勇太が暴れる中、鬼鮫が勇太へと声をかける。「すぐ、
楽になる」
「う…あぁぁっ!」勇太が必死に力を抜こうとするが、痛みで身体が
跳ねる。

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「ぐっ…あ…っ! アツ…イ…!」勇太の瞳が潤む。身体が
反射的に跳ね続ける。「あ…っ、痛い…よ…」
「我慢しろ…」鬼鮫の額が汗ばむ。「…くっ、キツいな…」
「うあ”ぁ…っ!」意識が遠くなる。勇太の鬼鮫に絡み付く手も
腕も汗ばみ、頬が紅潮していく。「鬼鮫…さん…っ」
「くっ、あぁぁっ!」
「だ…ダメだよ…壊れ…る…っ!」勇太の表情が苦痛に歪む。
 速度を増す様に鬼鮫の動きが徐々に激しくなる。
「…ッ!」
「う…あ…あっ…! もう…もうダメだって…っ! あ…っ!」

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