01工藤勇太」カテゴリーアーカイブ

回帰・17

思念体である母さんが俺を抱く。  その優しくて温かな腕の中、俺は彼女に向かい合い、その手を掴んで訴えた。 「母さん、俺と一緒に現実世界に戻ろう!」  記憶を母である貴女から貰った俺は空白の時を埋める事に成功し、空虚だった … 続きを読む

カテゴリー: 01工藤勇太, 回帰, 蒼木裕WR(勇太編) |

回帰・16

微笑む母さんから何か光のようなものが俺を包み込むように流れ込んでくる。  なんて温かな光り。  それは自分を抱擁する手のような温度。だけど光特有の眩しさはなく、それは静かに俺へと染み渡った。 ■■■■■ 「母さん、あのさ … 続きを読む

カテゴリー: 01工藤勇太, 回帰, 蒼木裕WR(勇太編) |

回帰・15

この想いを「嘘」だと誰かが言うのなら、それを証明する何かを下さい。  血の繋がりを求め。  心の繋がりを求め。  魂の繋がりを求め。  糸の繋がりを求め。  これは貴女を見つける為の旅路――この気持ちを「嘘」だと誰かが糾 … 続きを読む

カテゴリー: 01工藤勇太, 回帰, 蒼木裕WR(勇太編) |

回帰・14

「さっきの子、どこかで見覚えが……っぃ、つぅ!」  頭が痛い。  精神力が酷く削られているのを感じ、俺は焦りを感じた。この世界に長時間留まるのは危険だと知っていたけれど――こんなにも身体に負担が掛かるものなのか。  ミラ … 続きを読む

カテゴリー: 01工藤勇太, 回帰, 蒼木裕WR(勇太編) |

回帰・13

「ここから先はお前一人で行け」  繋いでいた手が離され、俺は頷き一人で歩き出す。  ここは高千穂神社の夫婦杉が導いてくれた道の先。  今まで神社の境内のような景色に包まれていたが、やがては其処は精神世界へと突入した。ゆら … 続きを読む

カテゴリー: 01工藤勇太, 回帰, 蒼木裕WR(勇太編) |

回帰・12

俺を狂わそうとした夫婦杉の気に気を当て払ってくれた男性は自分が何者なのか答えない。  カガミが俺の身体を支えてくれたので、そのままゆっくりと立ち上がる。若干ふらつきはしたが、肩や腕を貸してくれているカガミのお陰で倒れる事 … 続きを読む

カテゴリー: 01工藤勇太, 回帰, 蒼木裕WR(勇太編) |

回帰・11

宮崎県の高千穂神社に俺とカガミはバスを乗り継ぎやってきた。  其処は宮崎県でも有名な観光地の一つで、神社の本殿は国の重要文化財にも指定されており、他にも古くから存在する杉が宮崎の重要文化財に指定されていたりと見所が沢山あ … 続きを読む

カテゴリー: 01工藤勇太, 回帰, 蒼木裕WR(勇太編) |

回帰・10

「悪いね、僕らの分まで奢ってもらっちゃって」 「い、いや……約束したしな!」 「でも工藤さんってば良い人ですね。まさか追加注文した物まで奢って下さるなんて」 「たまには、ほら、年上ぶりたい年頃なんだよ」 「じゃあ、お言葉 … 続きを読む

カテゴリー: 01工藤勇太, 回帰, 蒼木裕WR(勇太編) |

回帰・9

その夜、俺は一人で考え事をしたいとカガミ達に一言述べてから部屋を出た。  フィギュアは既に就寝、ミラーもそんな彼女の傍に寄り添っているのだから二人が俺を追いかけてくることはない。  自分が取っている部屋へと移動してから窓 … 続きを読む

カテゴリー: 01工藤勇太, 回帰, 蒼木裕WR(勇太編) |

回帰・8

「あら、このご飯美味しいわ。でもあたしがあまり箸の使い方に慣れていないのが難点ね」 「僕達は和食より洋食の方が好んで食べるからね。気を使ってフォークなどを持って来てくれたここの宿の方々には感謝するよ」 「カガミー、工藤さ … 続きを読む

カテゴリー: 01工藤勇太, 回帰, 蒼木裕WR(勇太編) |